もし『自分は人と全然違う』と思ってる人がいたら、『あなたの話を聞いてめちゃめちゃ幸せになる人がいるで!』と言いたいんです by 円城新子
冒頭で紹介した通り、『ハンケイ500m』は地域からコンテンツを発信し、地域に根付いているメディアだ。取材では毎号、ひとつのバス停を起点に半径500m以内にあるものを紹介。和菓子屋にパン屋、蕎麦屋に寿司屋、そして自転車屋にいたるまで、さまざまな事業を営む人びとに生い立ちから話を聞き、独自の価値観やその背後にある歴史を発見していく。そうした取材を経て制作された雑誌は3万部がすぐに在庫切れしてしまうほど、地域の人びとに愛されてきた。
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「先にやりたいことがあって、それにはお金が要るという順番ですよね。つくり手がやりたいからやるのが大事。これはクライアントワークのページに限らず、掲載するコンテンツ全体に関して編集部の若いスタッフに意識してもらっていることなんです。自主制作映画と同じで、『自分がやりたい特集は、スポンサーを見つけてきたらやれるよ』と伝えています」
「ここ3年くらいで強く思っているのは、みんなが幸せになるためには、多様な価値観があったほうが絶対にいいということ。わたしにはできないことを、イヤイヤでも脅されているわけでもなく、好きでやってはる人があまりにも多すぎる。それは、違う価値観をもっていらっしゃるからなんですよね。自分と違う価値観を、わたしはおもしろいと思う。そして、そのような価値観に出会う嬉しさとラッキーをみんなに伝えたい。もし『自分は人と全然違う』と思ってる人がいたら、『あなたの話を聞いてめちゃめちゃ幸せになる人がいるで!』と言いたいんです」
「自分たちが何屋かわからなくなりますよね(笑)。でも、ハンケイのビジネスモデルは、この雑誌を儲からせることじゃないんやなって、いまごろになってわかってきました。ただ実直におもしろくなるようにだけ考える。この雑誌だけで利益は増えないけれど、ハンケイを出している会社に仕事を頼みたいという話はどんどん増えています。スピーディーに極端な右肩上がりを目指すようなやり方だったら、そうはなっていなかったかもしれないですね」